2007年12月06日

再生紙に高品質を求める負荷

先日、事務所に新しいパソコンがやってきました。

エコ印刷研究会としては、ついつい付属の印刷物に目が行ってしまうもので、よくみると説明書には「Printed in China」と書いてあります。

さて、この印刷用紙には、細かい斑点状のゴミが結構入っていました。

日本の100%再生紙でも斑点が入っているものがありますが、これ程のものはなかなかないです。

とはいっても、今回は昨今話題の中国製品の品質や安全性についてのお話しではありません。

逆に、これくらいの不純物が入っていてもいいのではないでしょうか、ということです。文字を読むのには全く支障がありませんし、美術的な印刷物など特別の用途でなければ問題ないでしょう。

日本では、再生紙についての品質要求がかなり厳しいそうで、これくらいの紙だと売り物にならないのかもしれません。

製紙メーカーでは、不純物を取り除いたり、白くするための工程で多くのエネルギーや資材を消費しているとの話もあります。

まっさらな紙が使えればいいのはもちろんですが、それによって環境負荷が大きくなっているとすると、多少のことは我慢してもいいのではと思います。

再生紙の利用を促進するには、白色度の配慮だけでなく、こうしたゴミについても敷居を下げることが必要なのでしょう。

ただ、機械測定できる白色度と違い、どのように基準化するかは難しい問題かもしれません。
そもそも、ゴミ、チリ、斑点、不純物…はっきりした呼び方も決まっていないようですので、そこから始めないといけないでしょうか。
posted by eco-ken at 16:49| Comment(1) | TrackBack(0) | 印刷用紙

2007年10月25日

FSC森林認証紙の広がり

紙の環境配慮は古紙パルプと、環境に配慮したバージンパルプの2つが両輪となります。

古紙の利用を高めていく取り組みは大切ですが、一方、古紙だけでは紙を循環させていくことはできず、バージンパルプの投入が必要になります。そのバージンパルプが環境に配慮され、持続可能であることが大切です。

中でも、高い品質が求められる印刷用紙は、バージンパルプの役割が大きく、古紙パルプの利用率は27%に留まっており、7割以上がバージンパルプです。

環境に配慮した森林資源の利用の取り組みとして、森林認証という仕組みがあります。

森林認証は、環境や社会に配慮し、持続的な森林経営が営まれている森林を認証(FM認証)し、その後の伐採会社、製紙会社、印刷会社など、各過程ともに認証(COC認証)を取得している会社により運用することで、認証をつなぐ強固なものです。


森林認証の仕組み


FSCはその代表的なもので、FSC製品には、認証事業者のIDの入ったマークが表示されます。

FSCマークこれまでFSC森林認証紙といえば、環境報告書、CSRレポート、会社案内など、環境への配慮が注目されるごく一部の印刷物への使用がほとんどでしたが、ここにきて、チラシやパンフレットなど、広告宣伝用印刷物にも広がっています。

中でも驚いたのがケンタッキーフライドチキンのチラシで、切り取ってクーポンチケットにもなる、いわゆる普通のチラシですが、一番下にFSCマーク、大豆油インキマーク、チームマイナス6%のマークなど、環境配慮をまとめて掲載しています。

営業メリットだけを考えれば少しでも宣伝を多くしたいところでしょうが、環境アピールにこれだけのスペースをとっているのは異例でしょう。すばらしい取り組みだと思います。

その他にも、交通機関の情報誌や不動産のお知らせなど、色々な場面で目にするようになってきました。

まだまだ一般的な認知度は低いと思いますが、これからの森林認証紙の広がりに期待します。
posted by eco-ken at 17:03| Comment(8) | TrackBack(0) | 印刷用紙

2007年06月26日

再生紙は環境にいいの?悪いの?

先頃(2007年4月)、大手製紙会社から古紙パルプ配合率100%再生紙の印刷用紙の生産停止が発表されました。100%だけでなく、高い品質が求められる印刷用紙は、古紙パルプの配合を抑える方向で商品構成が変更されるとのことです。いくつかの製紙会社でも同様の方針で商品が変更されるとのリリースが続いています。

1つ目の注目点は、100%再生紙の調達が従来通りできるかということです。すでに印刷物発注者の皆さんの元には、印刷会社や製紙会社から100%再生紙が使えなくなるという情報が届いているようです。

100%再生紙の生産を継続するという製紙会社もあるものの、そこに全てが集中してしまったら需要を満たすことができるか、長期的な動向など心配な面が色々とあります。

さらにもう1つ、特に環境部・CSR部の方にはとても気になる問題が生じています。100%再生紙の停止を決定した製紙会社では、古紙パルプを使用した用紙の製造は、バージンパルプを使用した場合に比べ、CO2の排出が多くなり、環境負荷が高いことをその理由の1つとして上げています。

これまで「再生紙は環境にいい」から、積極的に再生紙の採用や、古紙リサイクル活動を行ってきたのに、どうして?というのが正直なところではないでしょうか。

製紙会社での発表を受けて、各種メディアでは、再生紙の環境面での評価に言及した記事が相次いでいます。

□「古紙100%配合でCO2は増加?日本製紙が再生紙を見直し」(日経エコロジー7月号)
□「100%再生紙やゴミ分別の常識はエコじゃなかったの?」(R25 2007.6.7 No.145)

こうした状況をふまえ、再生紙を中心としたグリーン購入活動を行っている企業にとっては、再生紙について改めて評価を行い、必要に応じ購入方針の再検討などの対応が必要となってきています。

さて、本当に、古紙100%再生紙は環境にやさしいはウソだったといえるのでしょうか?

エコ印刷研究会では、従来通り、再生紙は評価すべき資源だと考えています。一方で、印刷用紙の環境配慮を古紙パルプ配合率だけで考えるのは不十分だとも考えています。今回の再生紙をめぐる状況の変化は、印刷用紙の環境配慮について考え直してみる機会ともいえるのではないでしょうか。

posted by eco-ken at 13:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 印刷用紙