再生紙は、紙の環境配慮を牽引してきた重要な取り組みで、今後も役割が代わるものではありませんが、一方で、バージンパルプの環境配慮も重要な課題として注目されています。先にあげた森林認証や間伐材などがその一例です。
これからの印刷用紙の環境配慮は、古紙パルプと環境に配慮したバージンパルプが両輪となって進んでいくといえるでしょう。
しかし、環境配慮表示を考えてみると、少々ややこしくなってきます。
環境に配慮したバージンパルプを使った用紙には、森林認証材、非木材、間伐材などパルプの種類によって、色々なマークがあって、古紙パルプを含め、複数のパルプを複数使った用紙に、どのように表示をするかは検討の必要があります。
マーク表示は、パッと見て分かりやすいのが大きな特徴ですが、再生紙マーク、森林認証マーク、非木材紙マーク…と並べて表示することが適切なのでしょうか。環境報告書など、じっくり見てもらえるものでしたら問題ないでしょうが、チラシやパンフレットなどでは、デザイン上も使いにくく、かえって分かりにくくなるのではと危惧しています。
印刷物利用者の視点で考えてみると、部分的な配慮より、全体としてどのような配慮が行われているのかの方が気になるのではないでしょうか。理想的には、古紙パルプの合計値、環境に配慮したバージンパルプの合計値をそれぞれデザインとして含むマークがあればいいなと考えています。(R70+G30みたいな形になるでしょうか)
さて、身の回りの印刷物にどのような表示がされているかみてみました。
□ GPNニュース(グリーン購入ネットワーク)
マーク:(用紙のマークではありませんが)GPN印刷サービスマーク
説明文:用紙…古紙配合率70%、環境に配慮したバージンパルプ26%(植林材18%、森林認証材8%)
□ au総合カタログ(KDDI株式会社)
マーク:R30(再生紙使用マーク)
説明文:植林木70%、古紙30%の無塩素漂白用紙を使用しています
ここで結論を出すことはできませんが、現在では、最もアピールしたいマークを表示し、それ以外については、説明文で掲載する形が一般的といえるでしょうか。ただし、配合割合についてもきちんと表示し、その合計ができるだけ100%に近いものであることが必要といえます。