1つ目の注目点は、100%再生紙の調達が従来通りできるかということです。すでに印刷物発注者の皆さんの元には、印刷会社や製紙会社から100%再生紙が使えなくなるという情報が届いているようです。
100%再生紙の生産を継続するという製紙会社もあるものの、そこに全てが集中してしまったら需要を満たすことができるか、長期的な動向など心配な面が色々とあります。
さらにもう1つ、特に環境部・CSR部の方にはとても気になる問題が生じています。100%再生紙の停止を決定した製紙会社では、古紙パルプを使用した用紙の製造は、バージンパルプを使用した場合に比べ、CO2の排出が多くなり、環境負荷が高いことをその理由の1つとして上げています。
これまで「再生紙は環境にいい」から、積極的に再生紙の採用や、古紙リサイクル活動を行ってきたのに、どうして?というのが正直なところではないでしょうか。
製紙会社での発表を受けて、各種メディアでは、再生紙の環境面での評価に言及した記事が相次いでいます。
□「古紙100%配合でCO2は増加?日本製紙が再生紙を見直し」(日経エコロジー7月号)
□「100%再生紙やゴミ分別の常識はエコじゃなかったの?」(R25 2007.6.7 No.145)
こうした状況をふまえ、再生紙を中心としたグリーン購入活動を行っている企業にとっては、再生紙について改めて評価を行い、必要に応じ購入方針の再検討などの対応が必要となってきています。
さて、本当に、古紙100%再生紙は環境にやさしいはウソだったといえるのでしょうか?
エコ印刷研究会では、従来通り、再生紙は評価すべき資源だと考えています。一方で、印刷用紙の環境配慮を古紙パルプ配合率だけで考えるのは不十分だとも考えています。今回の再生紙をめぐる状況の変化は、印刷用紙の環境配慮について考え直してみる機会ともいえるのではないでしょうか。